配合飼料(原料)の解説

豚の飼料のほとんどは「配合飼料」という形態で、栄養のバランスを考えて飼料(原料)をミックスして与えております。飼育している豚の素質、飼育目的、成長段階に適した配合の割合となっています。飼料原料は数多くの種類がありますが、現在国内で使用している代表的なものを紹介いたします。

1.<穀類>
飼料原料の代表的なもので、使用量は極めて多い。成分の特徴は、粗繊維・蛋白質・カルシウムの含量はやや低いがエネルギー・デンプン質・リンは高い。又、家畜の嗜好性は高く、全体的に粒が硬い為、粉砕して給与しています。

とうもろこし @とうもろこし
とうもろこしは、穀物飼料原料の中で最も主要なもので、わが国は、主にアメリカから輸入しています。飼料価値としては、粗繊維は少ないが、エネルギーが高くデンプンに富み、穀類としては粗脂肪分も多い。又、家畜の嗜好性が高い。

マイロ Aマイロ
別名グレインソルガムと呼び、とうもろこしとともに二大飼料穀物と言われており成分価値も似かよっている。両者間には代替性がある。


小麦粉 B小麦粉
さまざまな環境で栽培され種類も豊富で食品以外の低級のものが飼料用とされる。飼料価値としては、とうもろこしと比較して粗脂肪分は低いがタンパク質、カルシウム、リンが高い。デンプンにも富んでいる。又、家畜の嗜好性も高い。良質の肉を生産するなどの効果がある。
大麦(粉砕) C大麦(粉砕)
飼料として主要な穀類で、とうもろこし、マイロに次ぐ輸入量である。飼料価値としてはとうもろこしより蛋白質が多く、エネルギーは低い。又、豚肉の白色で締まった脂肪を作る効果がある。

ライ麦 Dライ麦
耐寒性が強く荒れた土地にも良く生育する。飼料価値としては、小麦と良く似ているが嗜好性が低い為、その他の飼料と混ぜる工夫が必要。良質の肉を作る効果などがある。


2.<植物性油粕類>
豆類・油実類を採油した後の副産物で、加熱・乾燥処理を施し、フレーク状またはミール状の形態をしており、一般に蛋白質含量が高いのが特徴です。


大豆粕 E大豆粕
大豆から採油する事が目的で、残りの大豆粕が飼料用になったもの。現在は世界を通じて植物性蛋白質飼料として最も主要なものとなっている。飼料価値としては、粗蛋白質含量が高く家畜の嗜好性も高い。

菜種粕 F菜種粕
大豆に次ぐ主要油脂原料で、菜種の油脂含量は40%と高い為に食用・灯用として多く利用されている。飼料価値としては、粗蛋白質含量が高い。



3.<動物質飼料>
現在、動物質飼料はBSE清浄化の為、家畜への給与に関する規制が行われております。牛などの反芻動物以外の家畜においても肉骨粉等を与える事は禁止されておりますが、魚粉や乳製品等は豚への給与は許可されております。


魚粉 G魚粉
魚、あるいは油脂を分離した魚を乾燥して粉末にしたもので、飼料価値としては蛋白質・リン・カルシウム・鉄分が多く、特に蛋白質はその他の飼料に比べて一番高い。又、豚の増体を良くする栄養価の高い飼料。

脱脂粉乳 H脱脂粉乳
離乳期の子豚に与える飼料で、価値としては全乳から乳脂肪分を取り除いた事でエネルギー値は低くなるが蛋白質、乳糖、ビタミンB郡の含量は極めて高い。離乳後に適した飼料。

ホエイパウダー Iホエイパウダー
離乳期の子豚に与える飼料で、チーズ製造過程で分離して出来るもの。飼料価値としては、脂肪分・蛋白質・カルシウム含量は低いが、脱脂粉乳の1/2の栄養価がある。又、質の高い蛋白質でもある。離乳後に適した飼料。


4.<特殊飼料>
特殊飼料とは、主に無機物、ビタミンなどを補給する目的で用いる飼料です。



炭酸カルシウム J炭酸カルシウム
良質の石灰石を粉砕して製品としたもので、カルシウムの補給が目的。カルシウム不足になると、発育停滞・食欲減退・骨弱などの症状が現れる。


K食塩
ナトリウムと塩素は家畜に対しては重要な無機物であって、この両者を補給するために、食塩(塩化ナトリウム)を与えております。